別に書くほどじゃないけど…

ツイート以上、フリペ未満の雑文帖

さやかに星はきらめき

クリスマスひとりぼっち——通称クリぼっちという悪しきワードが定着してそれなりになるのかもしれないが、別にクリスマスが特別恋人たちの記念日だろうが関係なくお仕事してる人だっているんだし、今どき独り身だって全然珍しいわけじゃないんだし、ぼっち・ざ・ろっくで何が悪い会社からの連絡鳴り止まなくて何が悪いラララ〜ラララ〜(以下めんどくさいので略)

端的にいうとクリスマスイブひとりぼっちは寂しかったので、いつもの部活的スペースへ行ってきた。お菓子とジュースとスイッチを持って。こいつ、クリパする気満々である。ところがどっこい、本日件の空間での主な話題はこちら「なんか急に減給されてやんなっちゃう」。うーん、世知辛い……。
仕事大変だよね、理不尽だよね、旧態依然な組織は大変だよね。そんな会話が頭上で飛び交うクリスマスイブ。うわーん。聞けば聞くほど会社勤めでやっていける気がしない。世の中のサラリーマンへの尊敬がひたすら深まっていくばかりである。

社会の厳しさを叩き込まれ、ズーンとした気分を抱えつつ、それでも今日はクリスマスイブ。せっかくだから何かクリスマスっぽい幸せな感じで一日を終えたい!
ということで、知り合いの牧師さんが開催していたキャロリング(聖歌・讃美歌を歌い街中を歩く教会の活動)へと赴く。牧師さんの談によると、クリスマス礼拝後の聖職者は(一大イベントが終わってしまい)結構寂しいらしい。数年前の聖夜にそんな寂しさを感じた彼、何かもうちょっとできることはないかと考えた。そこで思いついたのが「お堀で讃美歌の“Oh Holy Night”を歌う」という聖なる駄洒落イベントだったわけである。しかしその年の24日の夜、県下には冷たい雨が降っていた‥‥。
いつか、いつか絶対にやりたいと思いを抱えて過ごした2年間。来年に転勤を控え、これをやれるのはもう今年しかない!(転勤先にはお堀が無い!) そんな状況に背中を押され、今年この聖なる夜に、お堀でキャロリングイベントが実現した次第である。

お堀に近づいてゆくと、電気ローソクの微かなゆらめきに照らされた集団を見つけた。ここかな? ここであってるかな?
ちょっと不安になりつつも、牧師さんを発見して無事合流。そこからは配られた譜面を見つつ、必死に信徒さんたちの歌についていく。歌えるかな……? とちょっと不安になったのだが、二曲目からはもうすごく聴いたことのある曲のオンパレードで、とても楽しく歌うことができた。


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例えば『この世界の片隅に』のサントラで聴きまくったこの曲も元は聖歌・讃美歌である。聴いたことはあっても、キリスト教徒じゃないとなかなか歌う機会ってないもんね。とても貴重な経験だった。
ちなみに主催は牧師さんでプロテスタントなのだが、お近くの教会のカトリックの信者さんも数名参加しておられた。カトリックの「聖歌」とプロテスタントの「讃美歌」では微妙に日本語の歌詞が違うらしく、そこの混乱みたいなものは若干あったのかもしれない。この辺は部外者には全然わからないけれど、歴史やら文化的背景が色々あるのだろうなあと想像する。

さて、肝心の“Oh, Holy Night(さやかに星はきらめき)”であるが、めっちゃくちゃ難しかった。そこまでの「きよしこの夜」とか「荒野の果てに」とか比べ物にならないぐらい。讃美歌を番号入力で演奏してくれる自動演奏装置的なものがあるのだけれど、これのテンポが割と早かったり、音量があまり大きくならなかったり、そして何よりアレンジが微妙に聞き取りづらいものだったりで、3回ぐらい仕切り直してもやっぱり出だしでつまずいてしまった。そして中盤にも音を伸ばす部分が数箇所あり、そこで現在地を見失ってしまう事故が多発していた。歌い慣れているはずの信徒さんでもそうなるんだから、初めて歌う我々にはハードルの高すぎる曲だった(そして男声用の下パートがわかるはずもなく、主旋律を歌うので喉が限界を迎えてしまう。さっきまで食べてたポップコーンのせいで、喉がすごいイガイガする)。

とまあそんな感じで最後の最後で絶妙に不完全燃焼をしてしまった部分はありつつも、クリスマスの夜に歌う讃美歌は澄んだ星空に吸い込まれてゆくようで、厳かな気持ちで今日の夜を終えることができた。
うーん来年もなんとかしてやってほしい。リモートとかで、なんとかならないでしょうか……?(下パート練習しとくから!)