去年から年を跨いでやってる読書日記です。
そろそろ失速してきた感じがある。
12/31
お昼まで寝て、朝食と微妙な昼食を食べて、文チャレの記事を少し書いて、ニネンノハコ(部室っぽい場所)へ行く。記事を書き上げて、集まってきた人々とお蕎麦やお菓子を食べながら、あんなことやりたいね〜こんなこともやりたいね〜という話をする。The・大晦日。
1/1
いつかやりたいなと思っていた新聞各紙の読みくらべをやるため、コンビニ4軒ぐらいを回って朝刊6紙を買ってきた。一箇所で買いすぎるのはなんか、怪しいしね……。
集めたのは朝日、読売、毎日、日経、中日、伊勢。スポーツ紙は省いた。産経はなかった気がする。
まずローカル紙の伊勢新聞。これはうっすいのですぐ読める。一面は社長と知事の対談。「県民守る防災推進」という見出しからも、防災がメインになっているあたりが伺える。あとは万博で何を展示するとか、インバウンド誘致、ライドシェアの促進など。あと色々な面で岐阜をライバルというかモデルケースにしてるんだなぁと。
内面はインタビューが中心。企業経営者とか東京に住む三重県出身者とかもありつつ、紙面を割かれているのは三重で働く外国出身者や県民の海外旅行記。海外からの人材誘致やインバウンド増加への布石として、海外への親しみをあげておきたいのかな?
ローカルニュースとしては「ワインを海底で熟成させる」というのが載ってて、ビンごと沈めてそんなに違いが生まれるものなのかな?と思った。海の成分は絶対作用しないので、単純に気圧とか?
続いて地方紙の中日。おそらく県内では一番取られている新聞なのではないか。
一面はやはり災害対策。愛知県が上下水道以外の代替水源を設けることを予算に計上する、というニュース。井戸を活用するとあるけれど、地震で濁ったり使えなくなったりしないものだろうか?
岐阜県はスペースXの衛生サービスと契約するとな。緊急時の通信網ぐらい国内の通信大手に頑張ってほしくはある。
一面下段広告はビジネス系が占める中、真ん中に新潮の「百年の孤独」が来ているのが面白い。ベストセラーなんだなあ。
2、3面は能登の復興状況をデータで示すビジュアル的な内容。社説は昨今のタイパ主義と権威主義体制との結びつきやすさを指摘している。「恣」って一文字で書けるのか。
15歳による投書で、子どもの頃与えられたおもちゃが将来の選択に影響するのではないかというものがあって興味深い。「男の子」的とされる遊び→理系。そこまでストレートに繋がるとは思わないものの、「女の子だからこっちの方がいいでしょ」とかいう親は「女の子が理系ってどうなの」とか言いそうなので、そういう面ではありうる。
名古屋出身のICC(国際刑事裁判所)所長がインタビューを受けている。プーチン大統領に逮捕状を出したらロシアから逮捕状を出されたり、ガザ侵攻を受けネタニヤフ首相やハマス指導者の逮捕状請求を発表したらアメリカから制裁を受ける。ほんと世界って大国中心なんだな。
『戦後80年と言いますが、僕はもう戦後ではなく「戦前」だと感じます』という言葉から始まるのは31面の久石譲インタビュー。あまり直接的なメッセージを発しているイメージはなかったが、組曲“The End of The World”は9.11を受けて作った曲だとか。何も知らないなあ。
社会面に中日新聞社関係の展示案内が。1月のパウル・クレー展と3月の「鳥」は見に行きたい。
裏面広告は矢場とんの「ブータニック」。別紙としてテレビ・スポーツ(もちろんドラゴンズメイン)・伝統工芸など・経営者や法人代表の挨拶。赤福じゃなくてへんば餅の広告。
数独と懸賞クロスワードがあり。送るか。
続いて毎日新聞。一面は『デジタルで問う「真の民意」』ということで、戦後80年の民主主義特集。自治体が設けた様々なテーマに対して住民が意見を投稿したり、ポイントを使って投票できるというアプリが紹介されている。『22世紀の民主主義』で書かれていたような直接民主主義スタイルがいよいよ始まっているのだな〜と思った。これはこれでデジタル使えない人を排除してしまう問題があるが。
左は尹大統領の逮捕状について。職務は停止されたが「大統領警護庁」が身辺を警護していて逮捕できない可能性もある、と。システムが複雑なんだなあ。
2面に社説。日本は平和国家として世界を「自国主義」から「人道主義」に軌道修正すべし、といったところ。暉峻淑子さんの「戦争の反対は対話」という言葉も紹介されている。
下の全五段広告は『百年の孤独』。本の紹介から、読書という孤独な時間の貴重さという話に繋げている。文庫化されると世界が滅びるという都市伝説にも触れてて(もちろん「杞憂に終わった」)おもしろい。読ませる文章だ。
3面はデモクラシーズの続き。オードリー・タンのインタビューと、民主主義の危機について。「日本では強権的な指導体制を望む声が少しずつ高まっているという調査結果がある」
それどこ情報?
世界の政治体制マップが載っていて、意外と専制国家って多いんだなーと思う。
4面は全面で尾田栄一郎のイラストが載った集英社の広告。
5面には「大英博物館ギリシャ彫刻群 帰郷近し?」の見出し。そりゃあ大英博物館なんて他所からぶんどってきたものだらけだろうよ。しかし英国の法律では所蔵品の譲渡は禁止されているため「特別貸与」の形をとる可能性、と。うーん。
三省堂の広告には学習段階に対応した辞書が載っているが、中学は「例解」、高校は「現代新国語」、大学一般は「三省堂」「新明解」、学術は「大辞林」となっている。普通に高校で新明解買わされた気がする。マトリクスになってて「規範」の対に「記述」が置かれているのだが、そういうものなのかな。
学研の広告。介護やグループホームまでやってるんだな。揺り籠から墓場だ。
7面は「トランプ氏再登板 揺らぐ世界」。トランプ次期大統領によって世界がどう動くかを予測している。それにしても「就任初日は独裁者になる」なんて公言しちゃう大統領よ。
ちくま文庫の五段広告、謎のラインナップが並んでいると思ったら(『官能小説用語表現辞典』がなぜここに?)、背の著者名の記号で文章になっている。それで「背中で語れる文庫になろうと思う。」なのか。でも「で」がないから無理やり寺山修司のてに濁点つけてるところが苦しい。でらやま。
12面特集「デジタル社会 行き着く先は」。日本はソフトウェア開発で遅れを取っていて、海外企業に払うライセンス料がバカ高くなっていると。個人レベルでもこれはそうだよな。Adobeとかめちゃくちゃ高いし。でも日本製ソフトってなーんか痒いところに手が届かないんだよなぁ。
14面は毎日芸術賞・ユニクロ賞の受賞者詳細。奥泉光さん、山中瑤子さんは文學界を読んで知った方々。
三重版は酒造特集。
1/2
昼前まで寝て親戚を迎え、お墓参りなどした後に新聞の続きを読んだ。
紅白に出場したこっちのけんとさんが躁鬱で休養というニュースを見て、気になったので色々調べた。もともとアカペラサークルのご出身の方で、学生時代からかなり完成されてる歌声だ。そりゃ日本一とってるんだからそうなんだけど。
びっくりしたのは動画編集や一部はPV撮影もご自身でされていて、まさに令和的マルチクリエイターだなと思った。憧れ。
さあこれからというタイミングで休止宣言するのはものすごく逡巡のあったことだと思うけれど、著名な方が率先して「休む」宣言してくれるのは社会にとって良いことだと思う。コメントに「どれだけ人生が変わっても『死にたいな』と考えてしまう」と書かれているが、もう本当にそれなんだよなと。
1/3
知人とブックオフに行こうと思ったら車のエンジンが掛からず、バッテリーが上がっていた。これはもう今年は本を買いすぎるなという類の警告なのではないかと思う。
それはそれとして結局知人の車に乗せていただき滋賀まで行った。水口店、草津駒井沢店ともに賑わっていて、文庫が110円で、とても良かった。(駒井沢は古い岩波とかもずらっと面陳していてすごかった)
帰りしに琵琶湖まで連れて行ってもらい、湖畔に少しばかり佇んでみた。風がビュービュー吹いて、くっそ寒かった。そんな寒い湖畔にテントを立てて煙突まで立てて調理をしている方々がいて、よくやれるなあと思った。これが真のアウトドア派……。
1/4
バッテリーが上がっているので家族の車を借りようとしたら、そちらもエンジンかからなくてなんでやねん。寒波でやられちまったのだろうか。
動く車と繋いでもらってなんとかエンジンを駆動させ、オートバックスでバッテリーを交換した。年末の車検から何からとにかく金がかかる。車なんて乗らなくて生きていけるに越したことはないなぁ。
バッテリーを交換して、そのままブックオフへ。またかい、と思われるかもしれないが、この店舗では前々から欲しい本があり、残ってたらこの機会に買っちゃうかな〜と思っていたのだった。
棚をざーっとみた感じ、かなり「掘られた後」感がある。いや、そんな頻繁に来ているわけじゃないからわかんないけど、これだ!っていう本がいつもより少ない。それでもお目当ての、藤井保・瀧本幹也『往復書簡』は残っていたので手に取る。近くではなかなか買ったり借りたりできない本こそ買っておくべきである。
お値打ち本は面白いものが少なかったので、普通価格のところをじっくりみていると、買うかどうかをずーーっと迷っている本が見つかった。マジもんの人生最後の一冊こと、『完全自殺マニュアル』。これは買うのも読むのもなかなか勇気のいる本で、並の書店ではまず手に入らない。禁書になってもおかしくないのだが、現在まで細々と版を重ねているようで、見かけた一冊は比較的新しいものだった。
本の冒頭にも書かれているようにあくまで「お守り」的な一冊として、ということだが、ペラペラめくって「薬の致死量」とか生々しい話が書かれているのはやっぱり怖くて、結局今回も買わなかった。
できるなら不可抗力な外的要因で……と思ってしまうあたり、自分はまだ生ぬるいのだろうか。
でも正直な話、2025年は個人的に節目を超える年であることもあり、いつもより「死にたい」が高まる一年になると思われる。その時自分はどうするのだろうか。今はまだ、あまり考えられないでいる。
夜、『地雷グリコ』を読み始めた。タイトルですごい気になっていたのだが、「うわー、なんでもっと早く読まなかったのか!!」というぐらい引き込まれる面白さだった。
女子高生の射守矢真兎(いもりやまと)が生徒会や喫茶店のマスター、他校生徒などとさまざまなゲームで戦っていく物語。そのゲームというのが「地雷グリコ」を始めとして「坊主衰弱」「自由律ジャンケン」といった既存のゲームを一捻りしたもので、捻りが入ることによりゲームの心理戦度がめちゃくちゃ高まっていて面白い(例えば地雷グリコはジャンケンの出し手で階段を登る「グリコ」に「地雷」が加わり、相手の設定した地雷を踏んだら10段下がるというペナルティが発生するゲーム)。
展開的には対戦相手が「勝ったな」する→ 真兎に負けるという王道パターンを踏襲していてハラハラ度は低めなのだが、真兎の圧倒的な強さは読んでいて気持ちいい。
自分はミステリとかパズルとか、一瞬考えようとして諦めてバーっと読んじゃうタイプだけど、ちゃんと真兎の手を探りながら読めたらもっと楽しめるだろうな〜とは思う。ヒント的な図解とかが随所に挟まれていて、「さあ考えてご覧」的なつくりなので。
1/5
お正月ムードもそろそろ終わらせなければならないので10時に起きる。遅いが。
シーツとスニーカーをランドリーで洗い、布団を干しただけでも十分偉い。これでもう新年始めたってことでいいよね。
午後は部室的空間ことニネンノハコで『地雷グリコ』を読み進める。一人きりの時はなんだかんだで読書に適している空間だ。足元は寒いけど。
最後の「フォールーム・ポーカー」という一話は、ポーカーのルールをいじって心理戦度を高めたゲーム。JKが「一枚10万」のチップを数百枚賭けて真剣勝負するカイジも真っ青な展開だ。もちろんバレなきゃイカサマじゃないということで、互いの手の内を知り尽くしたライバルとの間で激しい攻防が繰り広げられる。
「そんな都合よくいく!?」というところはあるものの、登場人物たちの推論や行動はちゃんと理にかなっててすごい。詰将棋とかを見てても思うけど、ゲームを作るのも大変だけど、ゲームの進行を作るのはもっと難しいだろう。こんなややこしいルールで展開を構築していける作者の技量は恐ろしい。勝ち筋から逆算して書いていくのかなあ。
本作の中では、謎のクセ強高校があと2つあることが仄めかされている。これだけ伏線だらけの本なので、ここは次作への期待も高まるところ。ゲームのストックも絶対まだあるでしょう。
1/6
たぶん一睡もしてない。昨日はあまり動かなかったこと、グリコを読み終えたのが12時半だったこと、寝る前に興奮してしまったことも原因かと思うが、一番可能性が高いのはインスタントのキャラメルラテを飲んだことだ。この眠れなさはカフェインっぽい。
純粋なコーヒーでもないのに、しかも飲んだのは3時ごろだというのに。遅効性すぎるし、どれだけカフェインに弱いのだ(一応補足すると5時ごろにチョコを一つ食べたので、そちらと合わせての可能性もある)
もう本当に午後はカフェイン絶対禁止だ。寝たくない時以外は飲んじゃダメ。
でも3時に飲んで1時とかに効いてくるのなら、一番眠くなるお昼過ぎに効果を持ってくるには深夜に飲まなきゃならないのか…?
開き直って6時ぐらいに体操と軽い散歩をして、久々の電車で通勤。坂崎かおる『箱庭クロニクル』を読む。坂崎さんは文學界で知った作家さんで、人々の交流を描くのが上手い方だなーと思っていた。
行きと帰りで最初の短編「ベルを鳴らして」を読了。……すごいもの書いてきたな!
物語は老年女性がタイピストの養成学校に通っていた過去を回想するところから始まる。
学校では中国人の先生からタイピングの基礎を習うことになり、負けず嫌いの主人公はタイピング速度で先生に勝とうとする(そこには微妙な恋心のようなものがあるかもしれない)。同級生の小枝子さんと先生を交えながら主人公は腕を上げていくが、ある日突然やってきた憲兵に先生は連れ去られてしまう。
卒業した主人公は父の会社や軍の研究所でタイピストを務めるが、中国に駐留する部隊のタイピスト募集に応募し、海を渡る。
ここからの展開がもうすごい。この作品に対して使うのも違和感があるが、伏線の回収が圧倒的だった。あまりに高度だったので、何が起こったのかまだ飲み込めていないんだけど。
とりあえず読んでください、としか言えない。