別に書くほどじゃないけど…

ツイート以上、フリペ未満の雑文帖

文芸誌を一年間読んでみるチャレンジ第一回報告会

「文芸誌を一年間読んでみるチャレンジ」という愉快な企画をやっている。正直自分だけならばふわっとフェードアウトしても仕方ないかなと思っていたのだが、すでに参加者が数名いるのでもう後には引けない二ヶ月目である。

himasogai.hateblo.jp

企画の進め方として、それぞれ読むだけでは孤独だし面白くないので「月イチで報告会をやる」と決めていた。今日はその第一回。お世話になっている読書会の場を借りての報告会となった。参加者たちのカバンから次々出てくる文芸誌。ここは書店の一角だったかと勘違いするような光景だ。

集まった文芸誌など

企画参加者はどれか一つ文芸誌を選んで一年間読み続けるというルールのはずだったが、なんか初っ端から2誌出てきてるんですが……怖い。
とりあえず、以下にそれぞれの参加者のコメントをざっくりメモしておく。

群像・世界(Sさん)

  • 群像を選んだのは、主犯主催者がすでに『文學界』を選んでいて、かつ売り場にたまたま残っていて、さらに装丁の川名潤さんが好きだったから
  • 今まで局所的に文芸誌を読んだことはあったが、全部読み通したのは初めて
  • 読切と連載初回はわかるが、途中から読み始めるものは結構難しい
  • 読んだことがなかった人の面白さに気づけた
  • 苦手だと思っていた作家の面白い作品に出会えた
  • (二月号に関して)いしいしんじの作品 『息してますえ』はファンタジーだけど舞台が京都でとっつきやすかった
  • 『世界』はリニューアル後の表紙画に使われている久保舎己さんを敬愛しているので読み始めた。こちらも一年間読みたい(※久保さんは当読書会にも参加されていた)

ユリイカ現代詩手帖(Jさん)

  • 詩だったら小説よりは読みやすく、自分の得意ジャンルなので選んだ
  • ユリイカは特集号だと9割ぐらい特集
  • 今回はpanpanyaさん特集だったが、あまり存じておらず難しかったが、読めそうなところを拾っていった
  • 『環境の共同』という記事が面白かった。panpanyaさんの漫画で「ベッドに入っていなさい」と怒られる作品があるらしく、そこから展開して「重度障害をもち車椅子で寝たきりだけれど、東京まで旅をした人の話」につながっている
  • panpanyaさんに興味を持てたし、愛媛から東京まで行った方(この方も漫画家らしい)も面白そう
  • 現代詩手帖』には、学生時代の友人と一緒に制作した詩誌を評してもらったことがある
  • この値段でいろんな人の詩を読めるのは入口としてとてもいいと思った
  • どれだけ長くても2〜3ページで終わるので、読みやすい
  • 水沢なおさんの詩が好き。リアルな感触がありつつファンタジーなのが素敵

文學界(わたし)

  • 初っ端の又吉さんの話はまだあまり展開していなくて、今後どうなっていくのか気になる
  • 連載ものも意外と(あらすじが想像しやすくて)読めた
  • 金原ひとみさんの『YABUNONAKA』はいろんな人の視点で書かれる群像劇っぽいけれど、おおまかなストーリーとして「作家志望の女性が数年前に編集者から受けた性的被害を告発する」という事件があるらしく、なんかめっちゃタイムリーだな!!と(なお連載は15回目)
  • オープンダイアローグの要素を取り入れた読書会「ビブリオダイアローグ」という試みが紹介されていて、一人がスナフキン役になって他の3人が「スナフキン」に対して質問しているのだが、スナフキン解像度がめっちゃ高いなと思った(ムーミンを訳された石田さんなのでそりゃ高いわ)
  • 最終的に、悩みなんてなさそうだったスナフキンに(あまりに掘り下げられていて)悩みが発生してしまっていて面白かった
  • 書評コーナーの作品が複数芥川候補作に入ってたりした
  • 『神と黒蟹県』がとても気になって借りた

S-Fマガジン(B1号さん)

  • S-Fマガジンは隔月なので読みやすいかと思って選んだ
  • 以前読んだ『走馬灯のセトリは覚えておいて』がとても良かったので、SFって最新のテクノロジーを文学に落とし込んでて面白いなと思ったのも理由
  • 全部読んだけれど、連載作品が5作あって「20年程度続いている作品の第三部の21回」とか「空海と神様の話をしている途中の第73回」などはだいぶ厳しかった
  • あらすじが最低限しか載っていないので、レビューや感想を漁ってなんとか読んだ
  • 特集コーナー『ミステリとSFの交差点』は好きな作家さんも書いていて救いだった
  • ハヤカワSFコンテスト特別賞の『ここはすべての夜明け前』は良かったでぇ
  • 一章は女の子の日記でちょっと読みにくかったけれど、二章から対話になって主人公の裏側がわかって、第三章で「あぁ〜これはめっちゃ良かった」と(しみじみ)
  • 本当に新人? という読み応えがあった
  • 作家によって段組が色々あったが、3段組が多くて苦しんだ


というような感じだった。
やはり一月号から読むとはいえ「連載途中」の作品はたくさんあって、そこがネックになるのは仕方がないだろう。参加者様からの知見としては、

  • 細部の面白い表現や比喩に注目して読む
  • 見出しから面白そうなところを探したり、目にとまったところを読む

などの方法が提案されていた。これから挑戦される方は参考にされたし。

なお、文芸誌にチャレンジするような人が文芸誌の紹介だけで満足できるわけがなく、(わたし含めて)プラスで読んだ本をたくさん紹介していただいたこともありめちゃくちゃ時間が押してしまったのはほんと申し訳ないです。次回以降は文チャレ報告会を個別でやっていきます。

読書会全体の紹介本。毎度のことながらやばい量。


「文芸誌を一年間読んでみるチャレンジ」の犠牲参加者はまだまだ募集中!
ぜひあなたも一年分の文芸誌タワーを建設してみませんか???