別に書くほどじゃないけど…

ツイート以上、フリペ未満の雑文帖

240302雑感(岐阜駅本の市を終えて)

自分なんて生きてる価値があるのか……
みたいな思考ループに陥っていたら眠れなかったけれど、暖房をつけてしばらくしていたら自然と眠っていた。寒さがダメだったのかもしれない。
そうして夜を乗り越えて迎えたイベント当日の朝。6時に起きて、7時半の電車に乗る。寒い。春、どこいった??
途中の駅ではドアが開いたらめっちゃ吹雪いていてワクワクした。飛び出したいところをこらえて、そのまま名古屋まで運ばれて行った。
名古屋からJRで二駅。ほんとに? ってぐらい岐阜にはすぐ着いた。改札を抜けると既に本日の会場アクティブGだった。近しい。2階のフロアでは古本市出店のお店の方たちが忙しなく準備をされている。ちらほらお見かけしたお知り合いに挨拶をして、棚の方もちょっと覗いて、三階へ上がる。ここが今回の陣地、Independent Publishing Market会場だ。

示し合わせたわけじゃないけどわけじゃないけど近しいグリーンで揃った三重ゾーン

ON READINGさんのブースで受付を済ませ、割り当てられた机の上に荷物をどさっと広げる。手際が悪すぎるので前後左右の出店者さんが来る前に設営を済ませておきたかった。無理やりスーツケースに詰め込んだ諸々を解き放つ。初の即売会。先日買ったちょっといい生地を敷いて、キャンドゥのコンパクトな棚を設置して、商品を面陳していく。初めて一箱古本市に出店した日からしてみれば、かなり成長したのではないかと自画自賛してしまう。
そうこうしているうちにお隣さんがやってきて、わいのわいのしていたら11時になった。

人多っ。すご、多。

円頓寺のときもすごかったけれど、今回は屋内で駅直結ということで、流れが途絶えない。特に2階の古本市は人の海で、一度迷い込んだらなかなか抜け出せなさそうだ。レジ待ちの列が3階にまで伸びていたとかなんとか。いい本はかなり早い段階で抜き取られていったのではないかと心配する。

ところで、即売会で本を手に取ってもらえるかどうかは、レイアウトのオシャレさとコミュニケーションにかかっているのではないか。そしてそのどちらも苦手科目とする自分にとって、前を通りがかる方に気付いてもらうのはなかなか大変だ。昼前ぐらいになって、少し人の流れが緩くなってから、ようやく「フリーペーパーもあるので良ければご覧ください」の一言を挟むことができるようになってきた。

嬉しかったことTwitter上でやり取りをしたことがある方がいらしてくださったこと。自分と同じ感じで写真を本にしたことがある方が買ってくださったこと。読書会書き起こしのフリーペーパーをたくさんお手に取っていただけたこと。

改善点。フリーペーパーをどんどん手渡せるコミュ力がないこと。色々置きすぎて、メイン商品が埋もれてしまったこと。関連書籍を持ってきたけれど売れなかったこと(重い…)。他の参加者さんに挨拶したりする時間をあまり取れなかったこと(一人だと難しい)。自分自身の創作物に自信を持っていられなかったこと。

16時をすぎると人もまばらになってきて、他の出店者さんのブースをゆっくり見て回った。やはり創作系が多そうだ。
随所で名前をお見かけするような方のブースも回って、ご本人から本の解説をして頂く。なんとなく「知っております」とは言いづらく、初耳みたいに聞いてしまう。本人を前に感想を伝えるなんてレベルの高いことはまだ自分には無理なので、こういう隅っことかにちらちら書いていきたい。

17時、終了の合図と拍手で一斉に撤収作業が始まる。準備中は天才的だと思った敷き布の裾を止める安全ピンだが、外すのには結構手間取ってしまった。岐阜まで来てくれたお知り合いの飲み会に合流する予定だったので、スーツケースに雑に詰め込んだ。帰ってからが大変(きっと面倒くさがりの自分は数日間放置するとわかっていても)。
古本市の方は夕方でも賑わっていて、各お店の棚は隙間が目立っていた。終わってからの補充が大変そうだ。
海外文学の良書などをたくさん出されていた富山のブックエンドさんのブースで『パトリックと本を読む』を買った。なんとなく、本で救われる人の話を読みたい気分だった。

荷物をコインロッカーに預けて、駅前の飲み屋街を行く。ちょうど一軒目が終わって二軒目を探すところで合流。岐阜のお知り合いからお薦めしていただいていた候補は行列や満員で入れず、その場の雰囲気で天ぷらにて合意形成に至る。

「お疲れさまでした〜!」の乾杯をして、ゆるゆる飲み食いしつつ駄弁るこの感じ。休日の夜感。とても良い。だいたい土曜は仕事なので、こういうのは本当に癒しだ。たまには連休も必要だな。

買った本のこと、親知らずのこと、読書会に初めて行ったときのこと、血塗られた奥歯の話などで盛り上がった(親知らずを抜いた後に遠方まで駆けつけてくれた知人がいた)。
馴染んだコミュニティに新しい人がやってきたら「このひとはどういう経緯でここを見つけてくれたのだろう」って思うけれど、そういう自分達もかつてはそう思われる側だったんだなぁ……という話からお互いの初対面を思い出す流れになって、しんみりした。天ぷらはチーズちくわと納豆天が美味しかった。

「また何かやりましょう」という約束をして、駅で別れる。大体いつも地元で会う仲なので、知らない駅で別れるのは新鮮な感じ。コンパクトなバニラが染みるような、寂しくも温かい夜だった。
ちなみに帰りは車で来たお知り合いに途中まで乗せて頂きました。本当にありがとうございます。濃ゆい本談義をできて楽しかった。詩、読んでいきたい。

どちらも知人に書いてもらったPOP。もういろーんな人に助けられている。


イベントに出ることについて考える。
創作の楽しさとか、売り買いの楽しさとか、お話しする楽しさとか、人によって参加する理由は様々だろう。今日自分がいちばん強く感じたのは、「いるんだな」ということだった。例えば、名前を一方的に認知している作家さんが。自分と興味関心が近い人が。イベントに出るために作品を作る人が。買いはしないけれど、ちょっと気になるぐらいの人が。スーパーでネギを買ったついでに覗いてみる人が。元気な人が。元気じゃない人が。
みんな、いるんだな。売り場にじっと座りながら、そういうことを肌で感じていた。

それが自分にとってどういうことなのか、っていうのはまだよくわからないけれど。
またいつか、こんな風にブースのこちら側に座っている日があったりするのかな。