比較的近くにある古道具屋さんと写真集専門の本屋さんがコラボして、ポップアップストアが開催されるという。
ということで、写真集を物色しにいくついでに、お店の近くをぶらぶら歩いてきた。
今日は比較的暖かくてお散歩日和なのだけれど、山から吹き下ろしてくる風は強かった。まあ、小学生の頃からこの風に向かって下校してきた我々にとっては大したことはない。風に向かって両手を広げ、全てを受け入れる姿勢を示す。
田園地帯には乾いた土の匂いが漂っている。ちょうど眠っていた田んぼを掘り起こして耕す時期なのだ。この匂いがしてくると、もう春も近いな感じられる。
空には風に吹かれながらアオサギが飛んでいる。
冬の野はこざっぱりしていて寂しい感じもするけれど、これが夏になると草ぼーぼーで虫も多いので、あちこち歩き回るにはこれぐらいがちょうどいいのかもしれない。
再び集落の方に歩いていくと、道路沿いに気になる一本の木が。近づいてみると、小さなお堂が建てられていた。
そして、2枚目の祠の後ろには気になるものが見えているじゃないか。これも田舎あるあるのバスタブin the 畑である。隅っこにちょこんと乗せられたみかんが可愛かった。
集落を抜けて坂を上がっていくと、団地の中に入っていった。団地は風を防いでくれるので、ぽかぽかした暖かさだけを十分に享受できるのが嬉しい。
しばらく団地を歩いていると、なんだか見覚えのある道に出た。そういえばここ、遠足で歩いたことがあるわ。
小学生の頃には永遠に遠く感じられた距離が、今歩くとすごく短く感じられる。面白いけれどちょっと切ないような気分だ。皆さんもぜひ通学路とかを歩いて実感してほしい。
そこからしばらくのところに、かつて遠足でも訪れた古墳があったので、登った。
古墳の上は当然風がビュービュー吹いていてとても寒かった。片隅にあったちょうどいいくぼみにすっぽりおさまるように座り込んでみた。
古墳全体は綺麗に草が刈り取られていて、地元の人が手入れしているのかなと思ったけれど、さすがに文化財なのだから市が管理しているのだろう。若草山みたいに山焼きできないから大変だろうなぁ。
桜の咲く時期になったらきっと文庫本を持ってここにこようと心に決めて、名残惜しい古墳を後にした。
Googleマップを見ながら歩いていると、「音楽スタジオ」と書かれたマークを発見したので行ってみた。たぶん、ここだろうなあという建物があった。
こんな場所にという驚きは感じるのだが、農業を中心とした副業みたいなことを小商い的にされている方が多い土地なのかもしれない。いろいろな意外さが集まっていけば面白い地域になりそうだなあと思う。
またまた気になる一本の木が、と思ったらその手前にある迷路みたいなゾーンもめっちゃ気になる。
団地のある坂の上から下ってきて、ようやくスタート地点のお店に辿り着いたのは80分後だった。疲れた体を労わりながら、ゆっくり写真集を手にとてみる。
午後の光が差し込む古道具屋と、さまざまな写真家たちが切り取ってきたあらゆる時代・場所の光景が、不思議と繋がっているような気持ちになった。
本日の歩数は、トータル9千歩。最近全く歩いていなかったので、明日は筋肉痛かもしれない。
しかしこれで多いと思っていたらいけない。以前は毎朝のように散歩を続けていたのだ。
人には何のために足がある?
ドロップキックを蹴り落とすため? 否。
We Will Rock Youるため? 否。
そう、歩くためである。人類が今まで歩いてきたトータルの距離を合算したらどれほどの距離になるだろうか。そんな途方もないことを思う。
せっかく健康に歩ける足を持っているのだったら、歩かないなんて足への冒涜なのではないか。それがここ最近の朝はどうだ。寒いから、仕事前に疲れるのが嫌だからなんつってギリギリまで寝ているこの体たらく。
今日歩いて思ったけれど、やっぱり歩くと足もスッキリする。歩いた直後はちょっと張っているが、温泉に入ってもみほぐしていると、足中に気持ちの良い波が行き渡って心身が回復していくような気がする。
やっぱり、歩けるならば歩かなきゃいけない。それが私たちの運命なのである。
とまあ」そんな決心も、温泉に浸かっているうちに湯船の中に溶け出してどこかへ行ってしまったみたいだ。