別に書くほどじゃないけど…

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文芸誌を一年間読んでみるチャレンジ 3月の定例報告会

さてさて、今月もやってまいりました。「文芸誌を一年間読んでみるチャレンジ」の定例報告会です。今回は第一回と同様に地元の読書会「本の会」の場を借りて、参加メンバーがそれぞれの感想を発表しました。

 

クレイジーなチャレンジについてはこちら

himasogai.hateblo.jp

 

群像・Sさん

  • 松永K三蔵さん『バリ山行』が面白い。前半から中盤に向けてのスピード感、最後の散開する感じがストーリーとあっている。まだデビュー二作目で、単行本は出されていないけれど、出たら絶対人気になりそう
  • 柴崎友香さん『帰れない探偵』も好き
  • 長野まゆみさんの作品はもっと長いのを読みたい
  • 群像は厚いので持ち運びやすいようにと半分に割ってみたけれど、誌面が露出していると逆に持ち運びにくかった

四月号(読書中)

  • 古川日出男さん「キカイダー石巻鳥島、福島」→第13回なので毎年書かれているのかと思う。三月は繁忙期で仕事が忙しく、震災のことをつい忘れてしまっているけれど、忘れちゃいけないことを書くことはすごく大事だと思う
  • 安藤礼二さん「空海」が難しいので、毎号山場。

 

S-Fマガジン・Lさん

  • 特集が「BLとSF」で、わかるジャンルだったので読みやすかった
  • 伴名練さんの連載「戦後初期日本SF・女性小説家たちの足跡」で、萩尾望都が小説を書いていたことを初めて知った
  • 吉上亮さん『幻視百景』は、テセウスの船が出てきてSFっぽくなってきた。時空を越えてという話になりそうなので面白い
  • 二号連続で読んだことで、連載作品が部分的にわかってきた
  • 来月号はDUNEと三体特集。まだ見ていないので覚悟を決めないといけない

 

文學界、SLOW WAVES・ME

  • 特集は「身体がいちばんわからない」。小川公代さん、鷲田清一さん、穂村弘さん、くどうれいんさん……と個人的にはアツい執筆陣
  • 「理想の体」のイメージが、健康を理由に押し付けられてきた(太るのは良くない)歴史があるという話に、なるほど確かに押し付けだと思った
  • あとやっぱり身体の話に多いのは「病い」と「老い」。健康な時は意識しないもんなあ
  • 九段理江さんの芥川受賞エッセイ、同情塔を読んでたらわかる感じで良かった
  • 文學界異世界転生モノこと島田雅彦さん『大転生時代』、量子もつれを利用した転生技術という話になってきていよいよSF(S-FマガジンLさんに読んでほしい)
  • かなり状況が飲み込めないところから読み始めた砂川文次さん『越境』はいよいよ最終回。まさか爆発するとは……
  •  『読むためのトゥルーイズム』、まさかの課題本が出て(しかも500pぐらいある)泣きそう
  • 毎回没落した人物を取り上げる四方田犬彦さん『零落の賦』はキートンの話。無声映画の終わりとともに消え去ったと思われたキートンだが、晩年は芸術映画などにも出演していたらしい
  • 音楽エッセイ、江﨑文武さん『音のとびらを開けて』は、幼少期のピアノの先生との思い出。それぞれの子に適した曲をあてがってくれる、めっちゃいい先生だなと思った。デビュー以降まで続いた交友の話が素敵

 

今回は岐阜駅本の市で購入した自主制作文芸誌『SLOW WAVES issue2 ボトルメールから始めよう』も紹介しました。

  • 海をテーマに複数人が書いている文芸誌
  • ちゃんと創作、短歌、エッセイとあって、文芸誌だ
  • きくちりょうさん『煙突』という短編は、おそらく性別違和に悩む子どもの話。田舎ゆえに受け入れられず苦しむけれど、おじいちゃんだけがありのままの主人公を受け入れてくれる
  • 春田玲奈さん『Save Our Ship』はインドへの留学体験記。手で食べるかスプーンを使うかで悩んでいた時「あなたの文化を捨てないで」と言ってくれる友人、素敵だなあ

https://x.com/slowwaves_zine?s=21&t=JPW4DL6tviaMNY4If3U3qw

 

本の会恒例、紹介本一覧写真に紛れる文芸誌たち。文芸誌だけの写真を撮り忘れました。



繁忙期を乗り越えて

今回は年度末ということでみなさまお忙しく、発売からかなり時間が空いてしまった(ほぼ二ヶ月)ため、内容を忘れかけていたり、すでにどこかしらで話していたりと感想の難しい回だった。

かくいう自分も三月中盤まで三月号に取り掛かっていて(四月号が3/6発売……)、まだ三月号もほとんど読めていないのに、もう六日ぐらいで五月号が出てしまう。しかも課題本『思考の教室』を通読しないと四月号の「トゥルーイズム読書会」が読めない! どーーすんの?

4月は読書とピアノに全振りします。よろしくお願いいたします。

 

なお、今回の本の会には「なぜか日本だけ出ているサリンジャー選集」(サリンジャーの短編はナイン・ストーリー以外公式に出版が許可されていないらしい)、「苗字の東西の境界がすぐ近くにある」、「イベントや舞台の予習で読む本がどんどん増えていく」、「『ここはすべての夜明け前』は間違いなく20年代を代表するSFになる」などのお話が出て、とても面白かったです。本の会は次回でいよいよ60回。仕事終わりだとめちゃくちゃ急いでも間に合うかどうか、だけど、行けたら行きたいなあ。(今日の回で「行けたら行く」は大体行かないという話が出たばかりですが……)

 

次回の報告会

次回は4/14の予定。ZOOMでやるかオフラインかハイブリッドかはまだ未定なので、改めてどこかで報告します。

 

文芸誌を一年間読んでみるチャレンジは途中からも参加可能!

現在は「文學界」「群像」「S-Fマガジン」「ユリイカ」を読んでいる4人が参加中。他の文芸誌でもいいし、被っても大丈夫です。新年度、ぜひ気分もリフレッシュして、文芸誌のある生活を初めてみませんか?(沼への誘い)

 

なお、文チャレには最終的に文フリで報告誌的なものを販売しようという壮大な目標もあります。ぜひ一緒に文チャレで文フリデビューしませんか?